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ダンバール星

ダンバール星

火星から30光年離れた所にある小惑星。今から3000年前人類は初めてこの地に降り立った。

以降何度も失敗を繰り返し多くの犠牲も払い、水も空気もないこの土地に最終的に残ったのはわずか8名の乗組員であった。

彼らは当初は宇宙船の中で暮らしていた。ある日一人の宇宙飛行士が船外で探索活動をしていると遠くの方から振動が伝わってきた。

計器で測定する間もなく振動は体全体を包み込み、身動きが取れなくなった。

そしてさらに大きな波動彼が襲った。

宇宙船の人は無事だったが、酸素製造システムが破壊されてしまった。

次の宇宙船が到着するまで酸素は持たなかった。

だが乗組員たちはこの状況下でも慌てることはなく皆は意外と冷静だった。

来る時が来たという態度でいた。

船外で波動を受けた乗組員は宙に飛ばされ、地下の穴に吸い込まれた。

衝撃でシールドが割れ、気を失っていた。

地上の船内ではできるだけ動かないようにして酸素の消費を押さえていた。
中には先月産まれた赤ん坊もいた。

この子だけでも助けられたと皆が思った。

火星脱出で衝撃に耐えられず多くの人が命を落とし宇宙に葬られ た。 

船外の乗組員は顔に当たる雫で目を覚ました。

 最初は宇宙服の液体だと思ったが違った。確かに水だった。

それも上から落ちてくる水滴だった。

乗組員は計器で自身の位置を確認しようと起き上がった。

そしてその時外気で呼吸していることに初めて気づいた。

計器は故障したのかうまく作動できなかった。 宇宙服は波動派による衝撃と落下した際についた傷で数か所に穴が空いていた。

宇宙線などの被爆防止も機能していなかった。

とりあえず宇宙服を脱ぎ、体を動きやすくした。

重力は重く感じたが、手足が楽になった。 ヘルメットのライトを外してあたりを照らした。 

トム:ケイ、リュータとは連絡が取れたか

ケイ:キャプテン、未だです。最終位置が出ました。北21度300キロ地点です。
トム:あいつそんな遠い時まで行ってたのか。
ケイ:振動発生源も近くです。
トム:なに!地形は映し出せるか。
ケイ:これです。こちらが振動前のです。
トム:何だ、これは。 

地層を見ると波動でできたことは明らかだった。

波動だけでできたとは思えない。一体何が起きたんだ。

リュータはできたばかりの洞窟を下りて行った。
遠くに光が見えた。青白い光だった。ただ熱は感じられなかった。もしかするとこの光が酸素を発生させているのか。リュータはとっさにそう思った。そして光の方を目指した。 そしてそれは宇宙船からも確認された。

トム:光の分析結果は

ケイ:酸素、窒素、それからもう一つはデータにない物質です。温度は26度です。
トム:よし。動けるメンバーを集めろ。
 トム以外に3名が船外救出活動に出ることとなった。 リュータは確実に光に近づいていた。近づくたびに体の中が熱くなってきた。体内で何かが変化してきていると気づいた時には服が窮屈になっていた。リュータは放射線の一種だろうと思ったが、引き返そうとは思わなかった。服を全て脱ぎ捨て裸足で駆け出した。おそらく3メートル以上の背丈のなっていることは目の高さから判断できた。天井に届くか届かないかの所で変化は止まった。目の前の光景に圧倒された。あたり一面真っ白だった。そして奥に黒い点が見えた。足元も真っ白で何も見えなかったが、リュータは進んで行った。


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