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うそのようなほんとの話

鎮静剤依存症
キムジョンジョンは一日の仕事を終え、ソウル市内にある自宅に帰宅した。
ただいま
おかえりなさい。今日はあなたの好きなキムチチゲよ。食べられる?
ジョンジョンは2,3日前から胃がもたれ、食欲がなかった。
食卓につき、箸を持ったが、やはり食が進まず、胃薬を飲んで横になった。胃癌かもしれないと思い、不安になり、その夜はなかなか寝付けなかった。
翌日会社を休み、病院で検診を受けることにした。
このところずっと胃がもたれるんです。
じゃ、内視鏡で診てみましょう
これを入れるんですか。
局部麻酔はします。
それでもキムは抵抗があった。
全身麻酔もありますが、保険は適用されません。自費になりますが
キムは全身麻酔を選択した。
医者はキムに話しかけながら麻酔薬を投与した。数秒でキムの意識がなくなった。
検査が終わり看護師がキムの名前を呼んだ。キムは目覚めると看護師に聞いた。
どのくらい眠っていたんですか。
20分ぐらいですね。
キムは信じられなかった。たった20分寝ただけでこんなに頭がスッキリしたことに驚いた。
検査の結果胃には何の異常も見られなかった。
キムはあの爽快感が忘れられず、一週間後再度検査を受けた。医者がこの時キムに投与していた薬はプロポフィールという鎮静剤であのマイケルジャクソンの死亡事件で広く知られるようになった薬でもあった。
通常の麻酔薬は投与して効き始め、目覚めにある程度の時間がかかるが、プロポフォールは投与して20分程度で完全に回復できるということでアメリカでは多く使われるようになった。ただ短時間に多量に投与すると爽快感が原因で依存症を発症し、さらには心拍を抑えるということから危険性もある薬だ。ちなみにマイケルはこのプロポフォールを打つために専属医を雇い、投与させていた。

キムはその後何度も内視鏡検査を繰り返したが、同じ病院では限度があり、何箇所も病院を転々とした。妻には出張と偽り遠くの病院で検診を受けたが、お金も底をつき、他人名義で受け、検診費用も踏み倒した。2年間で500回以上も検診を受け、最後には警察に逮捕されることとなった。

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