宇宙人はこう言った

宇宙人はこう言った。
我々は高度でも何でもない。
ただ君らと違うだけ。
僕らにとっては物質その物を
変化させるのは難しいことではない。もし君らが宇宙へ出ようとするなら物質その物を変化させる技術を持たなければ君らは宇宙へ出られたとしても長くはとどまれないだろう。そうなると滅びる。我々にとって瞬間移動は難しくない。むしろ君らの速度には慣れない。
君らの方が特殊なのだ。
何百万年も生きている我々に機械はない。言葉もない。感情もない。生物でもない。ただ生まれては滅びる。時間はない。君たちの物理では辿り着くことは難しい。我々もまた君らの行動には興味がある。君らは自己完成のために意図して行動しているが、我々はまったく違う。どちらかと言えば無意識なのだ。君らが描いている宇宙人とは違うが、君らの方が特殊なのだ。君らは我々が持っていないものを持っている。君らが宇宙へ出ようとしているのは知っているが、今のままでは滅また。何億年後に君らのようなタイプが出てくるだろう。過去にも同じことがあった。135億年前にもいた。ずっと繰り返している。記憶では処理できない。到底届かない。過去に君らと似た宇宙人がいた。もちろんビッグバンの以前の話だ。君らによく似ているが、君らと決定的に違うのは知能が発達しすぎていたという事だ。知能が発達しすぎるということはそれだけ寿命が短くなる。なぜだかわかるか。それは大事なことを見落としてしまうからだ。自らを基準としてしまうからだ。だが君らはちょっと違う。気づきかけている。我々はなぜそのことがわかるのか。それが我々の役目だからだ。灯台下暗し。君らがホントに本気で目を向けなければならないことは…
信号が途切れてしまった。
英介はハッカーによるものなのか。あるいは側近か
総理、お車が参りました。
官房長官だった。
英介は歩きながらさり気なく聞いてみた。
官房長官は自分じゃないという。ハッカーによるものでもなかった。そしてメッセージも消えていた。
国連の席で英介は日本は地球を離れる選択をした理由を述べた。国家予算のほとんどを注ぎ込み、５０年内に成し遂げると語った。

地球の温暖化は実は北極と南極で起こり、それ以外の地域では気候が極端になった。太陽が膨張したことによるものだった。

人類は適用する能力がない。よって多くの人が食糧難で餓死、暑さ、寒さに耐えきれず死んでいった。全人口は１０億人を下回り、日本もわずか３０００万人となった。

火星への移住者は1,000人を超えたが酸素が確保できる地球に比べると厳しい環境だった。