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ぽん助

列記としたおじさんだが、幼稚園児として扱われて生きているぽん助はお天気ニュースを見ていた。

おはようございます。私が今どこにいるかわかりますか。ワイキキビーチ。
ビキニよく似合いますね。

このお姉ちゃん、40すぎだよな。
日本の天気予報でハワイか。共産主義に武力で勝てる訳がない。
ぽん助は警備会社セコイで働く45歳の男だった。

天気を伝える時は声が低くなるところが好きだった。
そしてキャスターはニュースを伝える時左右の眉の高さが変わるところがなんとも言えずいいとぽん助は思った。

いつでも戒厳令を発令して戦闘体制に望める中国に勝てる訳がない

リモコンを探しながら「俺の名は」の主題歌を口ずさんだ。アイハブアハブ♪

世界一の石油と天然ガスそしてレアアースさらに軍事力、製造力そして13億の人民それらを自由に操作できる国に勝てる訳がない。

ただいずれ中国の共産主義も崩壊する。人民の力。人は気が付く。ないものに憧れを抱く。収拾がつかなくなり反乱が起きるだろう。崩壊するときは一瞬だ。ロシアが先に崩壊する。
プーチンが死んだ後。帝政時代は終了する。分裂が起こる。北朝鮮も崩壊する。自由な世界が訪れる。

どんどん心の声が大きくなる。

ぽん助、幼稚園のバスに乗り遅れるわよ。
今行く。

ぽん助は見かけはおっさんだが、列記とした幼稚園児だった。実際もおじさんだが、なぜか幼稚園児だった。

周りもぽん助を幼稚園児として接してくるから変えようがなかった

ぽん助には中2の姉がいるが、やはりぽん助を幼稚園児として扱う。

いつからこうなったのか。幼い頃からだと答える。今も幼い。ただ記憶では大学へも行き、会社にも就職し、結婚もし子供もいる。だけど目の前にいるのは中二の姉。

ぽん助がお母さんに連れられてアーケードにやってきた。

よく見ると来たことがある喫茶店に入った。それもそのはずそこはぽん助が妻と初めてデートした喫茶店だった

いつデートしたかは覚えていない。10年前かもしれない。場所は覚えているけどどうして時間は思い出せないのか不思議には思わなかった。そこで働いている人は覚えている。ただ向こうはぽん助を覚えているかどうかもわからないが、態度は違った。妻と来た時は幼稚園児としては扱わなかった。なんでだろうとも思わなかった。
そこへ妻が入ってきた。もちろん顔は覚えている。声をかけて見ようとは思わなかった。妻はぽん助を見て頭をなでなでしてくれた。お母さんがちょっとトイレに行った。代わりに妻が来た。ぽん助は妻と外へ出ていった。妻が今日の夕食はカレーライスにすると言った。スーパーに買い出しに行った。家へ帰ると子供がソファーでテレビを見ていた。娘が写真を見せてくれた。写っているのは娘の同級生だった。娘の隣にいるのはお姉ちゃんだった。子供とお姉ちゃんとは同級生だった。翌日会社へ行った。電車の中でお父さんとあった。お父さんはぽん助を職場に連れて行った。お父さんは部下でもあった。会社に入ると部下になった。昼休みになるとお子様ランチを食べさせてくれた。仕事が終わって、お父さんはぽん助に電車賃を渡してキャバクラに行った。ぽん助もついて行った。お父さんは部下だった。こんな毎日がぽん助には当たり前だった。
昨日も明日も明後日もある。でも、何歳かはわかる。49歳だ。50歳になる。ただそれだけだ。記憶はある。時間もある。感情もある。

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