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ケイとサワ

ちょっと着てみてもいい?

えっ?あ、はい。

似合う?

ええ

着て行っちゃおうかな〜なんて冗談よ

でも、サワには冗談には思えなかった。

ケイさん、私、そろそろ帰らなきゃ

あ、ごめんね。あ、そう今日私と会ったこと秘密よ。じゃあね。

ケイはそう言って行ってしまった。サワはなぜ秘密なのかその時はわからなかった。

翌日サワはレインコートを前のかごに入れて喫茶店へ向かった。

こんにちは。
いらっしゃい
あ、昨日はどうもありがとうございました
えっ?
レインコート返しに来ました
サワはレインコートを袋から出して店主に渡した

あ、昨日の

これ、お礼にどうぞ
サワは折り紙で作った人形を渡した。

ありがとう。

コーヒー、入れるから飲んで行って
ケイさんってご存知ですか。

いや、知らないけど。

マスターのレインコートを気に入って。

いくつぐらい

30くらい。前この近くに

町のスーパーだね。ありがとう

マスターはサワに留守番を頼み出て行った。

電話が鳴った。マスターからだった。
サワに来てくれと言って切った。

そこにはケイがいた。ケイは苦しそうだった。
病院ヘ行こうと言うとケイは拒んだ。ケイはサワに言った。
サワはもともと遠い国からケイと一緒に連れて来られたという。まだ戦争で帰れない。それで今の家に住んでいる。家が貧しくて二人は養えないから私は出て行った。マスターは戦場カメラマンで私たちを助け出してくれた。違法入国した。どこにも帰れない。私は病院にも行けない。
お母さんに

サワ:孤児(マスターの娘)
ケイ:孤児お姉さん
マスター:戦場カメラマン
サワの育ての親:マスターの妹
形見のレインコート
マスターがサワの母親に贈ったもの

1年前からケイとは連絡が取れなくなっていた。娼婦としてお金を稼ぎ。引き出しにサワ宛にお金が

警察に届けた。不法入国を幇助したとして起訴され実刑判決を受けた。警察はサワも疑ったが、担当刑事は事件として扱わなかった。1年の刑を終え、マスターは出所した。店はサワが見ていた。

サワは母親とマスターと三人で写っている写真を見つけた。なぜ大切にしまってあるのだろうか。マスターには聞けなかった。

 サワは生まれ故郷を見ることにした。パスポートをとりビザもとった。
 
 姉の日記にあった住所を訪れた。そこは建物はなく近所の人に母親の写真を見せた。片腕を失った老人に写真を見せた。
まだ生きているという。

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