サトシは目の前に座っている女の子と目があった。
明らかに頭のおかしい子だった。
おそらく中学生だが、 挙動は幼稚園児以下だった。
目が合うと笑顔で返してくるが、 次の瞬間立ち上がり、 満員電車の人をかき分けてどこかへ行ってしまった。 サトシはこういった現代では治せない病を治してきた。
ただ医師免許もないのに医療行為を行ったと訴えられ、 実刑を受けた。
今でも患者からの依頼はあるが、できないでいる。
つい先日訴えた人の娘が精神病にかかり、 訴えたことを後悔したと連絡があった。
治療法はと言えば素っ裸で一緒に水に入ったり、 山小屋で一週間寝食を共にしたりと男ならいざしらず問題もあった 。
刑期を終えたばかりのサトシは前ほどの使命感はなくなり、 とにかく仕事を見つけることだけに集中した。
学歴も経験もないサトシに仕事はなかなか見つからなかった。
花屋で配達のバイトを見つけた。 前に治した女の子が客として来たが、女の子は覚えていなかった。
サトシも声をかけなかった。 女の子の家に花を届けることになった。
サトシのことを見つめると元の状態に戻ってしまうので敢えて目を 見ないで会話した。
両親には話していたので助けてもらった。 思い出したら元の状態に戻ってしまう。
会わないようにサトシは転々とした。 それでもどこかでお会いしませんでした? と声をかけられることもある。
この間は痴漢と間違えられてしまった。 サトシ自身も精神科にかかったことがある。 妹を治したがもとに戻って今は病院にいる。
おそらく中学生だが、
目が合うと笑顔で返してくるが、
今でも患者からの依頼はあるが、できないでいる。
刑期を終えたばかりのサトシは前ほどの使命感はなくなり、
両親には話していたので助けてもらった。
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